皆様、年末をいかがお過ごしでしょうか?2024年も残すところ僅かとなりました。タイトルからもお察しかもしれませんが、私は休みに入ったとたんに風邪を引いてしまいました
滑り込みで受けたインフルコロナの同時検査は陰性でしたが、しっかり(?)熱も出てしまったので安静に過ごしております。そこで今回は、風邪についての基礎知識や諸外国の風邪予防や治療の考え方などをご紹介します。
1.身の回りに存在する風邪のウイルス
風邪を引き起こすウイルスは200種類以上存在すると言われています。その中でも特に多いのが「ライノウイルス」と言われています。全体の30~50%を占め、特に秋から冬にかけて猛威を振るいます。これだけ種類が多いと、何度風邪を引いても免疫が追いつかないのも納得ですね。
風邪、インフルエンザ、コロナウイルスの違い
冬になると増える感染症ですが、「風邪」「インフルエンザ」「コロナウイルス(COVID-19)」はそれぞれ異なる特徴を持っています。どの病気なのかを見分けるためには、症状や原因の違いを知ることが大切です。
①風邪
- 原因:主にライノウイルスやヒトコロナウイルス(もともとあったもの)など、200種類以上のウイルスが原因。
- 主な症状:喉の痛み、鼻水、軽い咳、微熱(あまり高熱にはならない)。
- 特徴:症状が軽く、自然治癒することがほとんど。
②インフルエンザ
- 原因菌:インフルエンザウイルス(A型、B型、C型)。
- 主な症状:高熱(38度以上)、筋肉痛や関節痛、強い倦怠感、咳。
- 特徴:風邪よりも急速に重症化する場合があり、特に高齢者や基礎疾患を持つ人は注意が必要。
③コロナウイルス(COVID-19)
- 原因菌:新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)。
- 主な症状:発熱、倦怠感、咳、息切れ、味覚や嗅覚の異常。重症化すると肺炎を引き起こす。
- 特徴:感染力が高く、重症化するリスクもあるため、早期発見と対策が重要です。
余談ですが、過去に私がコロナにかかった際、約半年間くらいは嗅覚がほとんど失われていました。食べ物の美味しさは匂いでも感じているのだと実感
乾燥が大敵!
乾燥した環境では、喉の粘膜が弱まり、ウイルスが侵入しやすくなります。冬に風邪を引きやすくなるのはこのためです。湿度を40~60%に保つことが喉の保護に効果的とされています。加湿器を使ったり、濡れタオルを部屋に干すなどして、適切な湿度を保ちましょう。
水分補給の重要性
風邪を引くと、発熱や鼻水、汗などで体内の水分が失われがちです。このため、水分補給が非常に重要です。特に電解質を含む飲み物は、体の回復を助けると言われています。
2.諸外国の風邪治療事情とは?
さて、ここまで一般的なお話をしましたが、ここからは外国の風邪治療についてご紹介します。
(1)インドの風邪治療
インドでは、伝統的なアーユルヴェーダ医療が風邪の予防や治療に広く利用されています。例えば、ホットジンジャーティー(生姜入りの温かいお茶)が風邪を引いた際におすすめされています。また、蜂蜜やターメリック(ウコン)を使った民間療法も広く行われており、これらは抗菌作用や免疫力を高めるとされています。
アーユルヴェーダ(Ayurveda)は、インドに古くから伝わる伝統医学の体系で、心身のバランスを保ち、健康を促進するための総合的な方法論です。アーユルヴェーダは、サンスクリット語で「アーユス」(生命、長寿)と「ヴェーダ」(知識、科学)から派生した言葉で、「生命の知恵」や「長寿の科学」と言われています。この考え方や治療法は何千年も前から存在し、インドでは現在でも広く実践されています。
(2)アメリカの風邪治療
アメリカでは、風邪に対する治療法として市販薬が広く使用されています。医師に相談することはあっても、風邪は通常自然に回復するため、特効薬は使用されないことが一般的とされています。
(3)ロシアの風邪治療
ロシアでは風邪やインフルエンザの予防として「ヴァーニャ(サウナ)」が広く使われています。サウナで汗をかくことによって免疫力を高め、体温を上げてウイルスを追い出すと考えられています。また、温かい飲み物として、蜂蜜入りの紅茶やハーブティーが推奨されます。
(4)メキシコの風邪治療
メキシコでは、風邪に対して「アトーレ」や「ティントラ・デ・ジャマイカ」などの温かい飲み物が提供されます。また、伝統的な薬草やスパイス(チリペッパーやニンニク)を使った料理も、風邪の予防や治療として使用されることがあります。
(5)南アフリカの風邪治療
南アフリカでは、風邪や風邪に似た症状に対して、伝統的な薬草が使用されることがあります。例えば、「ハチミツと生姜」を煮出したものや、「ペパーミント」を使った蒸気療法が行われています。現代医療では、風邪の原因がウイルスであるため、抗生物質は使用されず、対症療法が行われます。
(6)中国の風邪治療
中国では、風邪に対して中医学(中国伝統医学)が重要な役割を果たしています。薬草や鍼灸が治療法として使われ、風邪の症状に合わせて体調を整える「気」や「血」の流れを改善することが大切だとされています。これにより、体の免疫力を高め、回復を促進するという考え方です。
中でも漢方薬は、風邪をはじめとする様々な病気や症状の予防、改善を目指すために利用されており、自然の薬草を使った治療が特徴です。西洋医学とは異なり、漢方では病気の原因を単に症状として捉えるのではなく、体全体のバランスを重視し、「気」「血」「水」(エネルギー、血液、体内の水分)の調和を保つことが治療の基本となっています。漢方薬は、日本の医療や市販薬においても昔から用いられています。
代表的な風邪に効く漢方薬
- 葛根湯(かっこんとう): 風邪の初期症状、特に寒気や肩こり、筋肉痛に効果があるとされています。体を温め、発汗を促し、邪気を追い出す効果が期待されます。
- 小青竜湯(しょうせいりゅうとう): 風邪による鼻づまりや喉の痛みに効果があります。体を温め、痰を取り除く効果があります。
- 麻黄湯(まおうとう): 発熱や寒気、体のだるさがある風邪に使用されることが多い薬です。体を温め、発汗を促して風邪を治療します。
- 銀翹解毒丸(ぎんきょうげどくがん): 風邪による喉の炎症や咳に用いられる薬です。解毒作用があり、熱を冷まし、炎症を抑えます。
日本以外の風邪治療や予防には、どんな考え方があるのかなどを中心にご紹介してきました。風邪をひきにくい体になるために、日ごろから体力づくりや予防習慣、体を冷やさない、栄養を取るなどの免疫を高める工夫をたくさんしていきたいですね!
※前回の記事でご紹介した、ホットドリンクレシピもおすすめです。
では皆様、健康第一で、よいお年をお迎えください