三菱一号館美術館で開催中の「異端の奇才――ビアズリー」展に行ってきました。
25歳という若さで亡くなるまでに生み出された作品の数々が展示されており、ビアズリーの短い生涯をたどるような構成になっています。
各章ごとに年表が添えられているので、「この作品は何歳の時に描かれたものなのか」が一目でわかり、時系列でビアズリーの画風の変遷を追うことができます。
サロメとビアズリー、ワイルドとの関係
代表作の一つ『サロメ』の挿絵を手がけたビアズリーですが、その作者であるオスカー・ワイルドとは不仲だったというのも興味深いポイントです。
まるで現代の原作者とメディアミクス化した側とのトラブルのようで、時代を超えて通じるものを感じました。
ワイルドがビアズリーの作風に不満を持っていたとはいえ、白と黒だけで構築されたビアズリーの装飾的な世界観は圧倒的です。個人的にも、ビアズリーの作風はとても好きです。
(とはいえ、展示を見ていると、ワイルドがビアズリーを嫌っていた理由もわかる気がします)
線と構図の美しさ
ビアズリーの作品は、精緻でありながら抽象的でもあり、装飾的でもあり、まさに唯一無二の世界観だと思います。
後世のアーティストに影響を与えた理由がよくわかります。
シンプルな線と緻密な装飾で構築されたダイナミックな構図は、圧倒的な迫力と美しさを持っています。
特に構図の美学、そして限られた線の取捨選択に込められた繊細さと大胆さには、学ぶべきものがたくさんありました。
25歳という短すぎる生涯
ワイルドが裁判にかけられたことでビアズリーもその影響を受け、仕事を失ってしまいます。ですがその後病気で亡くなるまでの間に再起を図り、その時期に残された作品は 『サロメ』時代のデザイン性重視のものとは異なり、超絶技巧の域に達した精密なものへと進化しています。
25歳で亡くなってしまったのが本当にもったいないです。
もしもっと長く生きていたら、どのような作品を残していたのかと考えずにはいられませんでした。
ビアズリーの作品には、検閲に引っかかって印刷物にならなかったものもあります。
実際に使われたものと、世に出なかったそれらを比較してみるのも面白いポイントでした。
また、印刷されたものでは気づけない細部の精密さや筆致の美しさがあるので、ぜひ実物を生で見てほしいです。
この展示は5月11日まで開催されているので、興味のある方はぜひ美術館へ足を運んでください。