takaです。
昨日、アカデミー賞の外国映画部門賞をとった映画 『おくりびと』 を見てきました。
当初、日本の葬儀の習慣の珍しさで、海外の評価を得たものと思っていましたが、
海外からも評価せれるテーマ(生と死の関係・意味、仕事への尊厳・・)と内容を持つ映画でした。
監督は、滝田洋二郎、(主演) 本木雅弘、広末涼子、 山崎努、余貴美子、笹野高史といったキャストです。
2000部しか売れなかった青木新門さんの著書「納棺夫日記」を主演の木本雅弘が読んだことが、
「おくりびと」のきっかになったそうです。
映画は、本木雅弘が、いろんな人に映画化の企画を提案し、何度も断られ続け、やっと実現した企画だそうです。
本木雅弘の感性の高さと20代の頃に構想した企画を実現に向けた継続した努力と
そして、誠実な演技がアカデミーにつながったのかもしれませんね。
<高齢者のパワー>
『おくりびと』をイオンショッピングセンター内のシネコンで見ましたが、座席は、ほぼ満席でした。
この映画館では、海外のヒット作でもガラガラなのが普通なので、お客の多さにビックリしました。
(今までこんな満席状態は体験した事がありません。 )
観客は高齢者が多かった。シーンにより、笑い声とすすり泣きが多く聞こえました。
高齢者の市場をとえる事ができると、昭和の時代のように映画館を満席にできるようです。
高齢者が多くの資産を保有する日本では、「高齢者の需要が喚起できるか?」に、産業の未来があるように感じました。
高齢者から未来の生活不安を解消し、ライフスタイルを提案できれば、消費は増えますね。
<納棺師という仕事>
『おくりびと』は、この納棺師の物語です。
納棺師とは、亡くなった人の魂を現世から天国へ送り出すまでの最期の準備をする人
映画では、「安らかな死への旅立ちの手伝いをする仕事」と言っていました。
遺族の前で、無くなった人の、体を清め、遺体に化粧をし、装束を着せる仕事です。
『おくりびと』は、雪の降る美しい山々を背景にした山形の地で、クラシック音楽をバックミュージックに、
そこで暮らす人々の生活や仕事、自然や生と死を「納棺師」という仕事を通じて描いています。
遺体を相手にする納棺師という職業は、決して簡単な気持ちで職業にできる仕事ではない。
家族や周りの人々からも、「やめてくれ」と言われるような嫌われる仕事です。
映画の中でも、主人公もとてもできないと辞めようとします。
<仕事への尊厳>
納棺師を辞めようとする主人公(本木)に、山崎努演じる会社の社長は、本木を食事に誘う。
白子を網で焼き食べながら社長は、言う
「お前も、これを食え。」「命は、他の命を食って、生きる。これが、困ったことに、うまい! 困ったことに!」
そして、社長の最初の納棺師としての仕事が社長の妻だと知る。
・・・・・
これで納棺師という仕事の意味の一端を悟った?のか? 主人公は、仕事を続けることとなった。
そして、最初はお金を持って変えるために行った職業だったかもしれないが
多くの遺体と仕事を重ねる中、仕事に尊厳を感じようになっていく。
それでも、仕事の意味を納得した後も、広末涼子演じる妻には、仕事の事を内緒にしている。
やがて、仕事を妻に知られる事となり、問い詰められ、
妻に仕事の事をうまく説明できず 「言えば反対されるから、言えなかった。」と答える。
妻は、実家に帰ってしまった。
<仕事に向かう姿勢>
社会としては、必要な職業でありながら、
家族や知人からは、嫌われる納棺師という職業を、妻が出て行った後も、主人公は、続ける。
やがて、妻は、子供の誕生を期に戻る。
そして、夫の納棺師としての仕事を、目前で見て、
亡き人を敬い扱う儀式や夫の納棺師としての真摯な姿勢を見て、夫の仕事の意味を理解していく。
そして、新しい生命の誕生と合わせて、夫の納棺師としての仕事に誇りをもっていく。
どんな、仕事であれ
「仕事に真摯に向かい合う姿勢」が、仕事に意味を持たせ、価値を生む。
そして、周りからも評価されるようになる。
(我々の仕事は、冷暖房の効いた部屋で、手も汚さず、重い物も持たない仕事です。
コンピュータとネットワークがあれば、世界中から見てもらえ、そして、後世に残る仕事でもある。
でも、こんな恵まれた仕事でも、 仕事に向き合う姿勢が悪いと、
良い作品はできないし、決して、お客様やユーザーから評価される事も、無いでしょう。
この映画を見て、改めて「仕事に向かう姿勢の重要性」 を感じさせられました。)
<生と死の関係・意味>
文明が進んだ先進国では、
遺体に触れることもなくなり、死は、病院や葬儀社の中に隠れてしまいました。
かつて、
死が身近で日常の中にあった時代は、
「生と死はつながっている」という感覚や宗教的な考えがあったのだろうと思います。
『おくりびと』がアカデミー賞を受賞したのも、
その事を再認識させられる作品だったからかもしれません。
みなさんも 『おくりびと』 観てみてはいかがでしょう?